避けては通れない電子ゴミ問題!e-wasteとは何か。
メタバースを始め、サイバー空間が私たちの生活に占める割合は、どんどん増えているようです。それ自体は悪いことではありませんが、忘れてはいけないことがあります。サイバー空間が、電子機器等の「物理的」なハードウェアにも支えられているということです。そしてハードウェアには耐用年数があり、不要になったものは捨てられます。
現代社会は、様々な電子機器によって成り立っており、今後もその流れは加速していきます。電子機器が人々の生活の質を高めているのは間違いありません。しかしその結果、「e-waste」と呼ばれる「電子ゴミ」の量が爆発的に増えています。そして「電子ゴミ」は私たちが思っている以上に、環境や人々の健康に悪影響を与えています。
SDGS等を通して、「サステナビリティ」の重要性が高まっております。当然「サイバー空間」関連の産業も、ゴミ問題を避けては通れません。私たち一般消費者にも、同じことが言えます。本日はそんな、「電子ゴミ」問題についてお届けします。
目次
電子ゴミって何?
電子ゴミは通称、「e-waste」と呼ばれています。主に、不要になった電子機器等を指す言葉です。ここで一旦、「e-waste」の定義を確認してみましょう。
「電子ごみ(E-waste)」とは、電気電子廃棄物や電子廃棄物ともよばれる、電気製品や電子製品、家電製品など、中古利用されずに分解やリサイクル、処分される廃棄物のことをいいます。
電子ごみは、金銀などの貴金属や希少金属(レアメタル)だけでなく、鉛や水銀といった有害物質も含まれているため、不適正な処理に伴う環境、健康への被害が懸念されています。電子ゴミとして扱われる品目
・パソコン
・携帯電話
・テレビ
・エアコン
・冷蔵庫
・洗濯機
・照明器具
・ゲーム機
など。
引用元:「電子ごみ(E-waste)」とは?増え続ける電子ごみ対策を解説!
多くの品目が私たちの生活に欠かせないものですし、それらの生産量は年々、増加している気がしますよね。国連が発表したレポートによると、2019年に世界で排出された「電子ゴミ」は、5,360万トンもあったそうです。そして、2030年には7、400万トンに増えると予測されています。
参照:SURGE IN GLOBAL E-WASTE, UP 21 PER CENT IN 5 YEARS
電子ゴミって、そんなに有害なの?
排出量が年々増えていることは分かったけど、「電子ゴミ」ってそんなに有害なの?はい、結構有害です。排出量が増え続けていること自体も問題ですが、それ以上に大きな問題が2つあります。それは、「環境や人体へ悪影響を及ぼす」ことと、「リサイクル率が極めて低い」ことです。それぞれ別個に、確認してみましょう。
環境・人体への負荷
「電子ゴミ」にはリチウム、鉛、そしてバリウムなど、人体に有害な物質が含まれています。現に、非正規に処理された「電子ゴミ」が子供や妊婦の健康を害していると、国連が警告しています。
また、違法廃棄などによって、先述した有害物質が水や土壌、大気に流れてしまい、地球環境を悪化させているケースもあるようです。
リサイクル率の低さ
2019年の調査によると、「電子ゴミ」のリサイクル率は17.4%しかありませんでした。つまり、大半の電子ゴミは、非正規に処理されたり、違法投棄されている可能性が非常に高いのです。電子ゴミを回収する仕組みと、正規に処理する廃棄システムが世界的に必要とされています。
現在の電子ゴミの処理方法
環境負荷が高く、リサイクル率が低い「電子ゴミ」ですが、現在は主に4つの方法で処理されています。その内、環境負荷や人体への影響リスクが低いものは、今のところ「再資源化」という手法しかないようです。
埋め立て
最も主流の処理方法です。コストも低く、大量の電子ゴミを処理できます。しかし、有害物質が土壌や水流に浸透してしまうリスクがあるため、あまり良い処理方法とは考えられていません。
焼却
こちらも、一般的な処理方法です。大量処理が可能で、処理の過程でエネルギーを生み出すため、幅広く採用されています。しかし、焼却中に有害ガスが発生してしまうため、こちらも理想的な方法とは考えられていません。
酸洗い
強度の酸性液体に浸けて、電子ゴミから金属を分離させる処理方法です。分離した金属は、他の製品を作るために再利用されます。しかし、溶かした後の液体を水源に捨ててしまうケースがあるため、こちらも理想的な方法とは考えられていません。
再資源化
環境負荷が最も低い処理方法です。電子ゴミを分解して、得られた資源を再利用します。また、電子ゴミから金属を分類させる際に、環境負荷があまりかかりません。
私たちにできることはあるのか
「電子ゴミ」問題に関して、私たちが個人レベルでできることはあるのでしょうか。
環境問題全般に関して言えることですが、問題が大きすぎて無気力感を感じてしまうことが多いのではないでしょうか。個人レベルで提唱されている取り組みも、何だか効果が無さそうなものが多い気がします。
少し考えてみたのですが、現状私たちにできることは3つあると思います。
賢い消費者になる
ます、「賢い消費者」になることです。購入先の企業が「電子ゴミ」をどうやって扱っているのか、ちゃんと情報公開しているのか等を気にするということです。私たちが投票を通して政党を支持しているように、消費を通して応援する企業を決めよう、という感じかと思います。
環境問題に本気で取り組んでいる政党を支持する
こちらも、必須なのではないでしょうか。昨今は、そもそも「民主主義」が成立たないという主張が増えてきております。ですが、この政治システムはしばらく続きそうですし、その場合、私たちは投票を通して、意思表示する必要があると思います。
物理的な消費を減らす
こちらも、そろそろ現実的に考え始める必要があるのかもしれません。「ミニマリストになろう」というわけではありませんが、電子ゴミを減らすためには、電子機器の消費量を減らすのが一番の近道ではないでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。
本日は「電子ゴミ」の問題についてお送りしました。最近はデジタル技術やサイバー空間の進歩が著しいですが、物理的な地球環境にも目を向ける必要があるなと改めて感じました。また、パンデミックを通して自身の消費生活が変わった方も多かったかと思います。自分の周りの「環境やモノ」にも注意を払いながら、楽しく「メタザルライフ」を送っていくのはいかがでしょうか。
ハードウェアに興味がある方は、こちらの記事で「半導体」についてまとめているので、もし良かったら読んでみてください。
本日もありがとうございました。