今日から実践可能!SET(社会的交換理論)を学んで人間関係を改善しよう
心理学者のアルフレッド・アドラーによると、人間の悩みの9割は人間関係だそうです。
この主張は確固たるデータに基づいているわけではありませんが、私たちの悩みの大部分が人間関係であることは、概ね正しそうです。
皆さんもご存知の通り、良好な人間関係の構築や維持は複雑で、時には大きな努力が必要です。そして良好な人間関係は、私たちの幸福にとって重要な要素です。
そんな人間関係を改善するための一つのアプローチが「SET(社会的交換理論)」を学ぶことです。
SETは、人間関係の力学を理解して、良好な人間関係を作るために有効な視点(フレームワーク)です。もちろん、SETは人間関係を理解するための一概念に過ぎず、人間関係の真理ではないかもしれません。しかし、SETを学ぶことは、他者とのコミュニケーションや交渉力を向上させるきっかけとなります。
SETを学ぶことは、以下の能力を伸ばすことにつながると考えられています。
・コミュニケーション力
・交渉力
・信頼関係の構築
・他者と衝突した際の管理能力
・(対人関係で悩んだ際の)決断力
この記事では、SETの基本的な考え方をご紹介します!
SETを理解することで、今日から人間関係を改善するためのヒントが得られるはずです。
目次
SETとは?
SETとは「Social Exchange Theory」の略で、「社会的交換理論」と訳されます。
SETでは、私たちが人間関係に経済原則を適用すると考えます。
シンプルに言うと、人間は価値がコストよりも大きい関係(利益)を追求し、コストが価値よりも大きい関係(損失)を放棄するという考え方です。この際、3つの前提があります。
・人間は価値を求め、損失を避ける傾向がある。
・人間は最小のコストで最大の価値を得ようとする。
・人間は、他者との関係を構築する前から、損得計算を行っている。
価値には感情的なものも含まれます。例えば、人に親切にしたり、楽しませたりすることも価値に含まれます。
また、価値やコストが人によって異なるのも、重要なポイントです。そのため、SETにおける価値とは「自分をより良くする可能性があるもの」すべてだと認識してください(コストはその反対です)。
SETによると、以下が人間の(人間関係における)行動原理となります。
人が社会的な関係(人間関係)を続けるかどうかは、各々の価値とコストの損得計算に基づいている。
そして、
人は自分の人生に価値を与え、自分の利益を向上させ、自分をより良くしてくれる関係を求める。
SETにおける価値が高い人とは?
では、SETにおける価値が高いとされるのは、どのような人間でしょうか?
それは、他人が望むものを提供できる(可能性がある)人です。
逆に、価値を奪う人は他人にマイナスのコストを与える人です。
SETの原則に則ると、価値が高い人が求められ、価値を奪う人は避けられます。また、人々が(無)意識的に「社会的な会計」を行なっている点にも注目する必要があります。つまり、人々は誰が与え、誰が奪っているのかを記録しており、そのデータに基づいて行動しているという考え方です。
この「社会的な会計」が大きければ大きいほど、人の「社会的信用(=価値)」が大きくなり、より他人から求められやすくなります。
同時に、人間関係の構築は「価値の交換」が伴うため、価値が高い人は、より多くのことを他人に求めることが可能となります。
※社会的信用はソーシャル・キャピタル(社会的資本)と表現される場合もあります。
社会的価値の内訳は?
社会的価値は、様々な形を取ります。代表的な価値は、ルックスや経済力、そして人脈や人格です。
※上記の価値はあくまで一例です。実際には人の数だけ価値の定義があります。
重要なのは、人々がこれらの価値を「交換」しながら人間関係を構築している点です。
SETの解説や実践を指導しているThe Power Movesによると、価値の交換には以下の原則があります。
自分が欲しいものを手に入れるためには、他人のニーズを満たすこと
求めるばかりでは、価値を奪う人になってしまい、他人から避けられます。何かを手に入れるためには、交換が成り立つように何かを提供する必要があります。
人望や影響力を得るためには、価値を与える能力を身につけること
人々は価値をたくさん持っている人に従う傾向があります。なぜなら、自分が欲しいものを持っている可能性が高いからです。
他人からの拒絶を避けるためには、価値を奪うことを避けること
価値を奪う人は、他人から避けられがちとなります。そのため、価値を奪ったり、奪う人という評判が立たないようにすることが重要です。逆に、「価値を提供する人」というイメージを作りましょう。
現時点で自分の価値が低いならば、与えられるものを見つける。それは将来的な価値でもいい。
価値の高い人は、価値の高い人同士で繋がることを望みます(奪う人を避けたいから)。
そのため、価値が高い人と繋がろうとする際は、自分が「奪うだけの人」にならないようにしてください。
自分が提供できるもの、価値の違いの埋め合わせとなるもの、将来的に提供できる可能性のある価値を全力で考えてから関係構築に臨むことで、良好な関係を築ける可能性が高まります。
長期的な人間関係を維持するためには、高い価値を保ち続ける
結局のところ、長期的で良好な人間関係を維持するためには、お互いに「Win-Win」である必要があります。そして、自分ができる最も効果的なことは「高い価値」を保つことです。
まとめ
人間関係において、常に損得勘定や自分の価値を意識するのは、疲れてしまうかもしれません。
しかし、仮に今の職場での人間関係、異性や友人関係において、今ひとつうまく行っていないと感じているならば、SETのフレームワークを適応することで、行動のヒントが得られる可能性があります。
SETは本日紹介した内容以外にも、色々な要素があります。しかし、本質的なメッセージは以下の文章にまとめることができそます。
「与えれば与えるほど、多くを求めることができる。」
※価値を与えることと、搾取されることは別物です。これはまた別の機会でご紹介します。
Source:
Social Exchange Theory in Maintaining Relationships
What Is Social Exchange Theory?
Social Exchange Theory: 5 Laws of Social Success