マジックマッシュルームがうつ病の症状緩和に効果的な可能性

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最新の大規模な研究によると、マジックマッシュルームに含まれる成分が、うつ病の症状緩和に効果的である可能性が分かりました。

New England Journal of Medicineに発表されたこの研究では、マジックマッシュルームに自然に含まれるシロシビン(精神活性物質)の効果が評価されました。また、サイケデリック薬の治療効果に関する臨床研究だと、過去最大規模で実施されたものだそうです。

目次

どんな研究が行われた?

この研究では、Compass Pathwayというスタートアップ企業が開発した合成版のシロシビンが使用されました。シロシビンとは、マジックマッシュルームに含まれ、幻覚剤に分類される成分です。

研究には、10カ国から233人が参加しました。参加者は3つのグループに分けられ、それぞれ違う量のシロシビン(1mg, 10mg, 25mg)が投与されました。

シロシビンの投与後、各参加者は専用の部屋で6~8時間ほど時間を過ごしました。研究者によると、この間、「夢を見ているような状態」を体験した参加者もいたようです。また、参加者の中には頭痛や吐き気などを訴える参加者もいましたが、それらの副作用はすぐに消失したと報告されています。

研究を開始してから3週間後、シロシビンを25mg投与したグループでは、約30%もの参加者のうつ病症状が寛解していたことが分かりました。つまり、高容量のシロシビンが投与されたグループにおいては、低容量のグループと比べて著しく症状が改善していたのです。

研究者のコメント

エジンバラ大学のアンドリュー・マッキントッシュ氏(精神医学教授)は、この研究が、シロシビンが従来の抗うつ薬の代替となる可能性を示していると考えています。また、今回の結果は、今後のサイケデリック薬を使った大規模な研究を後押しする物だと述べています。

一方で、シロシビンの副作用の可能性や、使用時の症状悪化の可能性がまだ十分に分かっていないと考える専門家もいます。
※シロシビンの長期的な投与は、今後の実験で検証される予定とのことです。

研究に携わったジェームズ・ラッカー氏によると、シロシビンはドーパミンと、脳の可逆性を促す神経伝達物質の量を増やす効果があります。同氏は、(脳の可逆性によって)脳が柔軟な状態になると、うつ病を治療する窓口が生まれ、人々の心をポジティブに変える可能性があると考えています。

現状だと、シロシビンはアメリカの連邦レベルでは危険ドラッグとして扱われています。しかし、最近ではサンフランシスコが植物性のサイケデリックを非犯罪化する等、合法化に向けた動きが広まっていくことが期待されています。

Source:
Psychedelics show promise in treating depression: study
Could psychedelics be the healthcare of the future? UW researchers find promising results
One dose of synthetic “magic mushrooms” may temporarily ease treatment-resistant depression, study says

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