半導体の種類を調べてたら、半導体ビジネスの勢力図も見えてきた!

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前回の記事(半導体って何?)では、半導体の概要を確認しましたね。
今回はもう少し踏み込んで、半導体の種類、そして半導体産業の勢力図について書いていきます。半導体の種類と言っても、さすが全てを網羅するのは大変なので、代表的なものに絞ります。「パソコンを分解すると、〇〇に使われている」というイメージですね。そしてその後、半導体を作っているトップ企業の特徴をまとめてみます。

それでは早速、いってみましょう。

目次

半導体の使われ方 代表例3つ

パソコンを例に話すと、半導体は大きく分けてCPU(プロセッサ)、DRAM(メモリ)、SSD(もしくはHDD)の3箇所に使われています。それぞれ細かく見ていきましょう。

CPU

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「Central Processing Unite」の略で、プロセッサともいいます。日本語に訳すと、中央演算処理装置です。その名前から想像できる通り、パソコン内の処理を全般的に担う、頭脳的な役割を果たしている半導体です。アプリやソフトのみならず、キーボードやマウスから入力された情報も処理します。私たちがキーボードで打った文字がメールに表示されるのも、CPUが働いてくれるからです。

CPUの性能はピンキリです。
性能が高いほど、写真や動画編集などの負荷が高い処理をスピーディーに行えます。一方、高性能なCPUほど電力を多く消費します。そのため、用途に応じてCPUの性能を選ぶのがベストです。例えばメールや文書作成などの軽作業が多い場合は、CPU性能を控えめにして、電池持ちが良いパソコンを選ぶほうが、使い勝手が良さそうです。

「コア数」「スレッド数」等、性能を決定づける要素もいくつかありますが、これらは別の機会で取り扱いたいと思います。

DRAM

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引用元:DRAMはどのようなメモリ?動作の仕組みやフラッシュメモリ、SRAMとの違いとは

「Dynamic Random Access Memory」の略で、一般的にはメモリといいます。揮発性メモリと呼ばれるRAM(Random Access Memory)の一種で、電源がついているときだけ、情報が記録できるメモリです。高速にデータの書き込みや読み出しができるため、パソコン(OS)やアプリなどが一時的に記憶したいデータを入出力するための、一時作業場として使われます。つまり、「短期記憶」としての役割があります。

一時的な作業場とはいえ、スペースには余裕があったほうが良いとされています。空き容量がなくなってしまうと、パソコンやアプリが動きを止めてしまう可能性があるからです。一例ですが、最低でも8GB、ゲームをするなら16GB、動画編集などの重い処理を行う場合は32GB準備するのが理想的です。

SSD

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「Solid State Drive」の略です。いわゆる「大容量記憶装置」ですね。DRAMと違い、パソコンの電源を切ってもデータが残るので「長期記憶」としての役割があります。

以前はHDD(Hard Disk Drive)が主流でしたが、近年はSSDが使われることが多くなってきました。SSDの市場価格が下がってきたからです。SSDはHDDに比べ、振動に強い、省エネ、動作が早いなどのメリットがあります。

厳密には、SSDの一部であるNANDフラッシュに半導体が使用されていますが詳細は割愛します。

SoCとは?

パソコンの「頭脳」「短期記憶」「長期記憶」に使われている半導体ですが、「SoC」という言葉を最近よく聞きませんか?

「SoC」とは「System on a Chip」の略で、CPUやメモリをひとまとめにした半導体のことです。これまでバラバラに存在していた半導体を、一つのチップにまとめたものになります。

複数の部品をひとまとめにすることで、チップを設置するのに必要な物理的なスペースと製造コスト、そして電力消費量を減らすことが可能です。すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、私たちが普段使っているスマホにはこの「SoC」が搭載されているのです。

そんな「SoC」ですが、去年アップルが独自に設計した「M1」というSoCチップをパソコン(Mac)に搭載して、大きな話題を呼びました。詳しくは、Appleが開発した「M1」チップはなぜ高性能なのかをお読みいただきたいのですが、M1チップが搭載されたパソコンは方々から「革命的」と高く評価されました。性能と省電力のレベルが、これまでに発表されていたアップルのパソコンと比べ、群を抜いて高かったからです。コストパフォーマンスが異様に高い点も、市場から歓迎されていました。

また、先日(2021年9月)、アップルはプロユーザー(主に動画編集や画像処理等、重いパソコン作業を行う方)向けに、「M1」の進化版である「M1 PRO」「M1 MAX」を搭載したパソコンを発表しました。これらも、スペックが一般的に出回っている同価格帯のパソコンと比べ、信じられないくらい高スペックでした。

半導体企業の勢力図

「SoC」を深掘りすると、世界の半導体を作っている企業の勢力図が見えてきます。

「M1」チップですが、実はアップルは「設計」のみしております。「製造」は、台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)が行っております。つまり、アップルがチップを「設計」して、TSMCがチップを「製造」しているのです。アップルのようにチップを設計している企業を「ファブレス」、TSMCのようにチップを製造している企業を「ファウンドリ」と言います。

TSMCですが、2019年時点での時価総額は約5,807億ドル(約60兆円)で世界9位にランクされておりました。また、ファウンドリ業界でのシェアが50%を超えており、かなり無双状態であることが伺えます。ここで一旦、現在の半導体業界の勢力図を見てみましょう。

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引用元:半導体メーカーの世界ランキング2021:インテルとサムスンに続くのはあの企業、不足は何年まで続く?

一位がアメリカの Intel(インテル)、二位が韓国の Samsung Electronics(サムスン電子)、三位が台湾の TSMS(TSMS)です。興味深いのが、これら3企業はそれぞれ強みが違うという点です。具体的に見てみましょう。

インテル

小型パソコンのCPUに注力している企業です。近年は別の分野に進出しようとしているみたいですが、世界のCPUシェアは80%を超えていると言われています。

サムスン電子

様々な電化製品を作る総合電機メーカーですが、半導体部門はDRAMに注力しています。ただし、DRAMは価格競争が厳しいため、フラッシュメモリやディスプレイなどにも力を入れています。

TSMC

先ほど書いた通り、ファウンドリでは業界トップの企業です。アップルやテスラ等、世界各国の大企業から半導体の製造を請け負っております。

いかがでしょうか。それぞれの半導体企業の強みをご確認いただけたでしょうか?

一口に半導体と言っても、注力分野(CPU、メモリ)、そして業態まで違うことをご理解いただけたかと思います。半導体の種類は企業の業態を知ることで、日々の半導体ニュースや関連企業の株価の動向などが面白くなる気がしますね。

まとめ

本日は、半導体の種類と、世界の半導体企業の勢力図をお送りしました。半導体の種類はまだまだありますが、今回はパソコンを例に3つ紹介しました。また、半導体企業もそれぞれ得意分野や独自の業態があることも、ご理解いただけたかと思います。
少し細かい話になってしまったかもしれませんが、半導体についてシンプルに知りたい方はこちらの記事もぜひお読みください!

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