社会主義を5分で紹介!再注目されている理由とは?

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最近、社会主義が再注目されています。この記事では、社会主義の概要を、超ざっくりと紹介します。5分で社会主義への理解を深めたい人向けの記事です。

目次

社会主義のゴールとは?

社会主義には多くの定義がありますが、それらに共通しているゴールは、誰もがが自由に生きれる世界を作ることです。


Source: ジェネレーション・レフト (Zブックス)

もう少し詳しく書くと、社会主義は、私たちが思い思いの人生を生きるために必要な「権利」を保障することを目指します。

下記が、社会主義が守ろうとしている「権利」の一例です。

・言論の自由
・宗教の自由
・選挙に参加できる
・教育を受ける
・健康に生きる
・食事と水を得られる
・働いたり、正当な対価を受け取れる
・休んだり、余暇を楽しめる
・安全な住居に住めたり、社会保障を受けることができる

これらの権利は、人種や性別、階級、身体的・精神的な能力に関わらず、誰しもが持っている「基本的な人権」と表現しても良いかもしれません。

これらの権利が守られてこそ、人間は自由に、豊かに生きることができると社会主義者は考えています。

一見すると、これらの権利は、法律上は与えられているように感じるかもしれません。しかし、本当に全ての人間が、これらの権利を持っていると言えるのでしょうか。

例えば、学費が払えなければ教育を受けるのが難しくなります。また、働く機会はあっても、正当な対価や余暇の時間が守られていないケースも多々あります。

言い方を変えると、「権利が守られている」状態とは、法律的にその権利が保障されており、みんながその権利を自由に使える状態のことではないでしょうか。

では、これらの権利を守るのは、現在の資本主義社会では難しいのでしょうか?

資本主義って悪いの?

近年、何かとバッシング対象となっている「資本主義」。しかし、人類の歴史を振り返ると、資本主義は私たちに多くのものを与えてくれたことが分かります。

例えば、資本主義の誕生により、多くの人々が自由に生きる権利を勝ち取りました。

資本主義が誕生する前は、「封建主義」という制度が主流でした。封建主義社会では、王や貴族などの支配層が、その他大勢の人々を事実上「所有」していました。また、「生まれ」や「血筋」によって、職業や住める場所など、自分の人生の大部分が決まっていました。

しかし、資本主義の普及に伴い、生まれや血筋に関係なく、「商人」と呼ばれる人々が自由に生きることができるようになりました。同時に、王族などが持っていた権力などが徐々に弱まっていきました。そして、人類の技術力や生活水準も、圧倒的に高まったと考えられています。

一方で、「支配する側」の力が大きすぎる点は、封建主義と資本主義とでそれほど変わらないのかもしれません。

封建主義の下では、「支配される側」は強制的に働かされ、「支配する側」が労働の成果を持っていきました。また、「支配する側」に逆らうと、肉体的に厳しい罰もありました。

資本主義の下では、「労働者」は時間と生産物を「資本家」に提供します。もちろん、理論上は労働者は働かなくてもいいし、働き先を自由に選ぶことができます。しかし、ほとんどの場合、生きるためには給料や賃金が必要です。また、雇い主の企業や資本家の方が、労働者より強い力を持っているケースが一般的です。つまり、現代においても、一種の「支配関係」が形を変えて存在していると言えます。


Source: “capitalism” – newspeak/double talk for neo feudalism. there is no free market.

また近年、資本主義の恩恵を受け取れていない人々が、かなり増えているという指摘もあります。

かつては、企業に勤めることで、充分に家族を養ったり、教育を受けたり、医療保険に加入することができました。しかし、現代では、仮に働いていたとしても、安定した生活が送れるとは限りません。また、雇用の不安定化や物価上昇に伴い、親世代よりも貧しい生活を強いられる若者が増えています。そして、貧富の差が急速に拡大しており、社会の分断や分裂が進行していることも、とても問題視されています。

いずれにせよ、現状の経済システムのままでは、社会が立ち回らなくなると考えている人々が増えています。その解決策として、社会主義的な考え方が注目されています。

社会主義的な考え方とは?

大ざっぱに言うと、社会主義は資本主義の良さ(生活水準の向上)を残しつつ、資本主義の問題点を解決することを目指します。そのためには、社会全体で、企業などを運営していくことが大切だと考えます。

資本主義の問題点をいくつか挙げると、労働者からの搾取や、資本家と労働者のアンバランスな力関係、貧富の差の拡大などがあります。

社会主義者は、これらの問題が起きてしまうのは、企業がごく少数の人々によって「所有」されているからだと考えています。確かに、少数の所有者が自分の利益を最優先に行動すると、その他大勢の人々の生活や労働環境は、無視されてしまいそうですよね。

現に、企業が少数の人々に「所有」されている結果、企業の利益が、充分に従業員に分配されていないことを示唆する事例も多いです。

例えば、高いレベルで利益を上げている企業が多いものの、それが社員の給与アップに繋がっていないと指摘されています。また、企業の経営層と従業員の給与格差も、極端に大きくなっていると海外メディアでは報じられています

資本主義の問題点に対して、様々なアプローチがあると社会主義者は考えています。しかし、最も重要視していることは、より多くの人々が社会の運営に関わるような仕組みを目指している点かもしれません。

企業の運営も、一部の株主や資本家だけではなく、従業員全員が参加した方が良いと考えます。その方が、従業員の声が反映され、より多くの人々の生活や労働環境が守られるからです。

少し専門的な言い方になってしまいますが、社会全体で企業などを「所有」することは、「生産手段の社会化」と表現されることがあります。

また、社会主義と混同される社会システムが「共産主義」です。社会主義と共産主義の違いは、こちらの記事で紹介しています。

Source:
The ABCs of Socialism
The Basics of Socialism

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