ストーンドエイプ理論とは?マジックマッシュルームが人類の進化に影響した?

ストーンドエイプ理論(Stoned Ape Theory)とは、古代人によるマジックマッシュルームの摂取が、人類の進化に大きな影響を与えたという仮説です。

約200万年前と比べ、人類の脳は3倍大きくなったと言われています。ストーンドエイプ理論は、ホモ・サピエンスの認知能力が大きく飛躍できたのは、マジックマッシュルームとの出会いが一因である可能性を示しています。

目次

一般的な進化の仮説

一般的に受け入れられている仮説によると、人類(ホモ・サピエンス)はホモ・エレクトスから進化したと考えられています。


Source:Evolution Of Humans – History, Stages, Characteristics, FAQs

ホモ・エレクトスとは、すでに絶滅したヒト属の一種です。直立歩行や大陸移動を行なっていたと考えられています。

約200万年前ごろ、ホモ・エレクトスはアフリカを超えて、アジアやヨーロッパへ生息地域を広げ始めました。その過程で、動物の追跡や新しい植物を発見していきました。彼らの一部が、ホモ・サピエンスに進化したと考えられています。

ストーンドエイプ理論とは?

ストーンドエイプ理論は、アメリカの思想家(及び民族植物学者)テレンス・マッケンナ(Terence Mckenna)による仮説です。マッケンナは生物学や自然保護など、幅広い分野に関心を持っていましたが、DMTやアヤワスカなど、サイケデリックに関する研究者として有名です。


Source: The Stoned Ape Theory: Pseudoscience or Psychedelic Origin of Modern Man?

マッケンナは、人間の祖先であるホモ・エレクトスが、食事の一環としてシロシベ・クベンシス(マジックマッシュルームの一種)を食べていたと推測しています。狩猟中に牛の群れを追う際に、群れが残した糞に生えていたマッシュルームを食べていたのではないかと考えています。

マッケンナによると、このマッシュルームの摂取によって、私たちの祖先の脳が大きく変わった可能性があるようです。具体的には、以下の効果があったと考えられています。

・視覚が鋭敏になり、より厳密な狩りができるようになった。
・媚薬作用があったため、繁殖への意欲が高まった。
・コミュニティの絆を高めた。また、集団での性行為を促した。

マッケンナは、マッシュルームの摂取が脳に突然変異を起こしたとは思っていませんでした。どちらかと言うと、思考や認知・言語を発達させるための「基盤」となったと考えていたようです。

Fantastic Fungi」というドキュメンタリー映画では、マッケンナの弟が、マッシュルームは神経や脳などのハードウェアをプログラミングするための「ソフトウェア」的な役割を果たしたと表現しています。

信憑性はある?

ストーンドエイプ理論は、科学的に証明されておらず、あくまで人類の進化を説明するための「仮説」です。また、一部の人類研究者は、進化の複雑な過程を説明するにはストーンドエイプ理論があまりにもシンプル過ぎると考えています。

一方で、約20万年前に人類の脳サイズが飛躍的に発達した理由は、今も解明されていません。そして、幻覚剤などのサイケデリック・ドラッグが、その発達に影響を及ぼしたと考える科学者もいます。例えば、菌類学者のポール・スタメッツは、マジックマッシュルームとの遭遇は、初期人類の進化の謎を説明する有力な出来事だと述べています。

いずれにせよ、人類とマジックマッシュルームなどのサイケデリック・ドラッグの関係はかなり前から始まっており、今後も社会の行末に影響を及ぼす重要な要素だと言えそうです。

Source:
Homo erectus – A Bigger, Smarter, Faster Hominin Lineage
THE ‘STONED APE’ THEORY MIGHT EXPLAIN OUR EXTRAORDINARY EVOLUTION
The human brain doubled in power, very suddenly, 200,000 years ago. Why?

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