どうしてもショッピングしたくなる脳の仕組みとは?買い物とドーパミンの関係

最終更新日

必要なものや欲しいものはすでに買ったはず。なのに、なぜか今日も無性に「ショッピング」がしたい。そんな欲求に取り憑かれている方は意外と多いと思います。

アメリカの大規模な調査によると、人口の5%もの人々が、買い物依存症であることが示されました。また、買い物依存症は裕福な国で発生しやすいものの、先進国以外でも普通に起きることが分かっています。

ショッピングの習慣が依存症レベルではないものの、月々のクレジットカードの支払いや無駄な出費は、なるべく抑えたいものです。しかし、意思の力ではなかなか思い通りにいかないのも事実。そこで、まずは「脳がショッピングしたくなる仕組み」を知ることで、その欲求を客観的に見つめるところからスタートするのはどうでしょうか?

この記事では、脳がショッピングを求める仕組みについて、解説します。

目次

もちろんドーパミンが登場します

ショッピングをすると、私たちの脳内ではドーパミンやエンドルフィンなどの化学物質が放出されます。
※正確には、ドーパミンは私たちが何かの報酬を「期待」したときに放出されます。

ドーパミンが放出されると、私たちはつかの間の時間、喜びや達成感、満足感を味わいます。しかし、やがて脳はドーパミンの生産量が減らし始めます。そのため、私たちはもっとドーパミンを放出させる「活動(この場合はショッピング)」を求めるようになります。この「欲求のサイクル」が悪化することで、「中毒」が起きるとされています。

ショッピングの場合、ドーパミンの生産が買い物に対する欲求を強化します。そして、繰り返しショッピングを行うことで、買い物と喜びの感情との関連性が強化されていきます。やがて私たちは、程度の差はあるものの「買い物ジャンキー」と化していく可能性が高まります。

また、ハーバード大学の脳神経外科であるAnn-Christine Duhaime氏は、人間は先天的に、より多くのものをより少ない労力で手に入れようとする傾向を持つように進化してきた考えています

もしこの仮説が正しければ、現代のショッピング・システムは、私たちの収集癖を際限なく刺激してくれるモンスター的な存在に思えてきます。

報酬が保証されていない時の快感は別格

ドーパミンの興味深い性質の一つが、報酬が保証されていないときの方が、ドーパミンの快感が著しく増加することです。その理由は、予測不可能な状態の方が、私たちの「期待感」が高まるからです。


Source: Shopping, Dopamine, and Anticipation

脳神経科学者のRobert Sapolsky氏が行ったサルを対象にした実験によると、報酬(食べ物)が半々の確率で得られるとき、最も高レベルのドーパミンが発生することが示されました(次いで高かったのは、75%もしくは25%の確率で報酬が得られるケース。100%報酬が得られるケースではドーパミン量が最も低かった)。

この実験結果は、私たちがオンラインショッピングを繰り返してしまう(時には歯止め無く)理由を部分的に明らかにしてくれます。

オンラインで商品を注文すると、商品が家に届くまで待つ必要があります。そして待っている間、私たちの「期待感」は高まります。その結果、オンラインショッピングは店頭で買い物をするより「エキサイティング」な体験になり得るのです。

ショッピングは幸福につながるのか

仮にショッピングが、私たちの先天的な欲求や、報酬システムを大幅に刺激するものだったとしましょう。その場合でも、それが個人の幸福につながるのであれば、「買い物したくなる欲求」を問題視する必要はないのかもしれません(地球環境への影響は全くの別問題です)。

しかし、いくつかの研究結果は、物質主義が人々を総合的に不幸にすることを示唆しています。

もちろん、買い物をすることは全く悪いことではありません。しかし、もし今度、特に理由もなく買い物がしたくなったら、私たちの脳が「ショッピング」を求める仕組みを思い出してみてください。

その「買い物」は、あなたが本当に手に入れたいものですか?それとも、報酬システムがハイジャックされた結果、意思に反して買わされているものでしょうか

Source:
The psychology of shopping addiction
Shopping and Spending Addiction Statistics
Yes, Shopping Can Be Addictive

シェアする