次世代のインターネット「Web3.0」とは?!

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最近よく、「暗号通貨」「NFT」「ブロックチェーン」等の言葉を聞きませんか?乱高下する暗号通貨相場や、驚異的な高値がつくデジタルアート(NFT)は、確かに話題性がありますよね。そして、「犯罪組織の決済手段に使われている。規制が必要だ」「単なるバブルだから、本質的には価値がない」「これからも値上がりする。まだ投資するのは遅くない」等の意見も聞くと思います。
もちろん、それぞれ価値のある意見です。一方で、暗号通貨やブロックチェーンを単純に投資商品や新テクノロジーとして捉えてしまうと、水面下で動いている大きな流れを見落としてしまう気がします。その流れとは、「インターネットのあり方」の変化です。

突然テーマが広がりすぎたように見えるかもしれません。でもご安心ください。
この記事では、暗号通貨やNFTが、どのように「インターネットのあり方」と結びついているか、お話しできればと思います。具体的には、Web3.0について書いていきます。

それでは早速、いってみましょう。

目次

「インターネット」にはフェーズがある?

本記事のテーマである「Web3.0」の話に入る前に、これまでのインターネットの歴史を簡単に振り返ってみます。

Web1.0:インターネット黎明期

インターネットの原形は、1960年代からありました。ただし、当時のインターネットは軍事利用が主目的で、一般利用はほとんどされておりませんでした。冷戦終結後、徐々に民間に広がりましたが、インターネットが一般社会に認知され始めたのは1990年代になってからです。しかし、使い勝手や見た目があまり洗練されておらず、まだ社会に幅広く普及している状態ではありませんでした。

Web2.0:現在のインターネット

2000年代半ばごろから、私たちが慣れ親しんでいるインターネットが出来上がり始めました。シリコン・バレーに拠点を置く様々なIT企業が、画期的なITサービスやIT機器を提供し始めたのです。代表的な会社として、Google や Twitter、Facebook、Amazon、そして Apple などですね。今では「プラットフォーム」企業と呼ばれる会社たちが、インターネットを通して人々が交流したり、買い物や検索等を行える仕組みを整えてくれたのです。つまり、 Web1.0 時代の問題点であったインターネットの使いづらさを解消してくれたとも言えます。
その結果、インターネットは私たちの生活に欠かせない存在となりました。一方で近年、Web2.0 には大きな問題があることが分かってきました。「プラットフォーム」企業に「力」が集まり過ぎる、という問題です。
どういうことでしょうか。今では広く知られていることですが、「プラットフォーム」企業の大半は、私たちの個人情報を糧に莫大な利益を上げています(広告やおすすめ商品等を表示するために、個人情報が使われています)。言い方を変えると、私たちは個人情報やプライバシーと引き換えに、「プラットフォーム」企業が提供する「利便性がめっちゃ高いサービス」を使っているのです。そして今、世界中のインターネット利用者の個人情報は、「プラットフォーム」企業が独占的に握っている状態になってしまいました。そして、この状態に危機感を覚えた人々が作ろうとしている次世代のインターネットが「Web3.0」です。

※「プラットフォーム」企業のうち、近年はFacebook(現在はMeta)が猛烈にバッシングを受けておりました。詳しくは、こちらに書いておりますので、興味がある方はぜひお読みください。

Web3.0:民主的なインターネットを目指して

Web2.0の仕組みは、インターネットが広く社会に浸透するためには欠かせないフェーズだったと思います。一方で、「少数の企業が、全世界の個人情報を握っている」という、なかなかディストピアチックな世界が出来上がってしまいました。Web3.0 は、そんな状況を改善するために提唱されている概念です(改善より反動や打倒という言葉の方が適切かもしれません)。シンプルに言うと、「プラットフォーム」企業から私たちのプライバシーや個人情報を取り戻し、個人や団体間が幅広く協力しながらインターネットを作っていこう、という動きです。つまり、「私たちの力を取り戻そう」ということです。

具体的にはどうするのでしょうか。Web2.0 は、「プラットフォーム」企業が私たちの個人情報やプライバシーを独占していることが問題でしたね。この構図が成り立つのは、私たちがインターネットを利用する「手段」を、「プラットフォーム」企業が独占しているからです。電車や道路、車などの交通手段が独占されてしまっているイメージでしょうか。Web3.0は、その「手段」をみんなで幅広く所有することを目指しています。少し専門的な言い方になってしまいますが、「独占」状態にあるインターネットを「分散化」させようということです。そして、「分散化」を支えるコア技術の一つが、暗号通貨やNFTなどの土台になっている「ブロックチェーン」です。

ブロックチェーンやNFTについては、以下にて関連記事を書いております。もし良かったら、読んでみてください。

ブロックチェーンについてまだ知らない人に向けた記事
まだNFTを良く知らない方にぜひ読んでもらいたい記事

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引用元:Why the Web 3.0 Matters and you should know about it

Web3.0 をさらに詳しく

Web3.0 が実現したとしても、私たちのインターネットの使い方はあまり変わらない可能性が高いです。これまで通り、検索やSNS、買い物を楽しむことになると思います。ただし、それらのウェブサービスを支える水面化の仕組みが大きく変わっていることでしょう。

Web2.0 時代のウェブサービスは全て、企業が「所有」しています。そして、利用者の個人情報や利用履歴なども、企業が「所有」します。Web3.0 は、特定の企業がウェブサービスや個人情報を「所有」することを防ごうとしています。具体的には、「ブロックチェーン」技術を活用して作られたシステムやウェブサービスを使うことで、個人情報を「分散化」して管理していきます。

decentralized
引用元:How to Win the Future.

「ブロックチェーン」とは「分散型台帳技術」のことです。シンプルに言うと、データやデータのやり取りの記録を一企業が管理するのではなく、インターネットの参加者全員でデータを所有・管理していくイメージです。そしてこの「ブロックチェーン」が、ビットコインやイーサリアムなどの「暗号通貨」や「NFT」を支える根幹技術です。例えばビットコインは、やり取りや所有記録などのデータをネットワークの参加者同士で共有・所有することで、改ざんやハッキングを防ぎ、システムの透明性やセキュリティを高めています。

どうでしょうか?なんとなく Web3.0 のイメージを掴んでいただけたでしょうか?Web3.0 の仕組みはまだまだ発展途上です。そのため、目に見える形で社会に現れるまでには、まだまだ時間がかかると思います。一方で、今話題沸騰中の「暗号通貨」や「NFT」の根幹には「ブロックチェーン」技術が使われております。「ブロックチェーン」技術の主目的は、情報を「分散的に管理・共有」することです。そしてこの「分散」こそが、Web3.0 を実現するための鍵となる概念です。

ちなみに、この「分散化」の概念は組織作りや金融サービスにも適応され始めています。以下にて関連記事を書いておりますので、もし良かったら、読んでみてください。

・組織作り
DAO って何?!よく分かっていなかったので、調べてみました。

・金融サービス
DeFi で金融世界が生まれ変わる? 金融の民主化とは何だろう。

Web3.0 のメリットとは?

これまでの話だと、Web3.0 はシンプルに「プラットフォーム」企業の情報独占に対する反動に聞こえるかもしれません。確かにそういう側面もあるのですが、セキュリティが強固なシステムを構築できるというメリットもあります。以下にて3つ、Web3.0 のメリットをお話ししたいと思います。

特定の企業や組織に支配されない

Web3.0 の仕組みが実現すると、私たちのインターネット上のデータやアカウント、活動履歴などが第三者によって勝手に消されたり、改ざんできなくなります。
今は、TwitterやFacebookの意向に反する投稿をすると、アカウントが停止されたり、除名されたりしますよね。フェイクニュースや差別的な発言を抑制してくれる良い面もありますが、見方を変えると、「プラットフォーム」企業に言論統制されている状態にあるとも言えます。インターネット上のアカウントは私たちのアイデンティティと密接に結びついている場合が多いです(もはや、私たちの一部ですよね)。つまり、ワンクリックでアカウントの停止や削除を行える「プラットフォーム」企業は、私たちのネット上のアイデンティティの生殺与奪権を持っていることになります。
Web3.0 ではデータを「分散化」して管理します。そのため、特定の企業や団体が勝手にデータを書き換えたり、削除できなくなります。

公開する個人情報をコントロールできる

Web2.0 では、「プラットフォーム」企業等が私たちの生活スタイル・趣味嗜好・金銭感覚などの情報を一手に握っています。これらの個人情報は、広告主やマーケティング会社にとって非常に価値のある情報です。そのため、個人情報を集めれば集めるほど、「プラットフォーム」企業が利益を上げやすくなります。
Web3.0 では、私たちは自分の個人情報を公開する範囲や、公開するシチュエーションをコントロールしやすくなります。つまり、個人情報を自ら所有している状態に近づくのです。

ハッキングや情報漏洩が起こりにくくなる

Web3.0 はブロックチェーン技術を活用してデータを分散的に保持するため、システムをハッキングするのが非常に困難になります。ネットワークに接続している全てのコンピュータを止めない限り、システムを止めたり、データを改ざんできないからです。

以上3つが、Web3.0 へ移行した場合の代表的なメリットです。プライバシーや個人情報の保護が、本来あるべき姿に近づくのは良いことに思えますよね。さらに興味深いのは、ハッキングに強いシステムを構築できる点です。ニュースで聞かない日がないというくらい、国家や企業へのハッキングは頻繁に起きています。もしかしたら Web3.0 は、国防という観点からも、導入が推進されていくのかもしれません。

まとめ

本日は「Web3.0」の概要に関するお話しでした。
暗号通貨やNFTへの注目が高まっておりますが、その根本に使われている「ブロックチェーン」技術は、データを分散管理するために発明されました。そして今、インターネットが抱えているさまざまな問題を解決するために、Web3.0 という概念が支持を集め始めています。現在のインターネットでは、一部の「プラットフォーム」企業がデータやシステムを中央集権的に管理しています。それに対して、 Web3.0 はネットワークの参加者全員が、インターネットを「分散的」に共有&管理していこうという考え方です。

Web3.0 はまだまだ発展途上の仕組みですが、それを支持する個人やコミュニティは着実に増えております。また、Web3.0 関連のプロジェクトや企業に対する投資額も、年々増加傾向にあります。「Web3.0」にも思いを馳せながら、「暗号通貨」や「NFT」の動向を追うのはいかがでしょうか?きっと、日々の情報収集が楽しくなると思います。

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