フェイスブックの評判が悪すぎる!? 悪の象徴となるまでの経緯
2021年、フェイスブック社に対する批判的なニュースを多く見かけるようになったと思いませんか? 実は最近、元社員が公開した内部資料がきっかけでフェイスブック社が世間から猛バッシングを受けています。
直近のMeta(メタ)への社名変更も、「悪化しすぎた会社イメージをリセットすることが目的なのではないか」と考えている人々も多いようです。
本日は、なぜこれほどまでにフェイスブック社のイメージが悪化したのかを解説してみたいと思います。これまでのフェイスブック社の歴史を振り返り、企業イメージを追っていきたいと思います。
目次
フェイスブックが嫌われるまでの経緯
フェイスブック社の会社イメージですが、ここ10年ほどで「イケてる新進気鋭のメガベンチャー」から「利益第一主義の非倫理的な企業」に変わり果ててしまったように見えます。
ここではフェイスブック社のイメージが悪化していった道のりを、3つのフェーズに分けてご紹介します。
イケてるベンチャー企業時代(2010年付近)
2010年付近は、「making the world more open and connected」(世界をよりオープンにし、つなげる)という企業ミッションがかっこよく見えていたのではないでしょうか。ちょうどフェイスブック社を描いた映画、The Social Network(ソーシャル・ネットワーク)が発表されたころですね。
引用元:THE SOCIAL NETWORK – Official Trailer [2010] (HD)
ハーバード大学を中退した10代の天才、Marc Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)がアイデアとIT技術で世界を変えている、という印象が強かった時代だと思います。
アラブの春(アラブ地域にて連続的に発生した大規模な反政府運動)運動時に、フェイスブックがデモの呼びかけや集会組織に使用されたことも、会社イメージを上げる上で大きな追い風となりました。
悪用されたらヤバい!大統領選挙付近(2016年〜2018年)
着実にユーザー数と影響力、そして企業利益を伸ばしていたフェイスブック社ですが、2016年のアメリカ合衆国大統領選挙(トランプ氏が当選)以後、風向きが変わり始めます。
詳しくは The Great Hack(グレート・ハック SNS史上最悪のスキャンダル)というドキュメンタリーを見ていただきたいのですが、ユーザーの個人情報が不正に取得されて「世論操作のためのプロパガンダツール」としてフェイスブックが選挙時に利用されていたことが明るみになりました。
Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)という英国の政治コンサルティング企業が、不正取得した個人情報をもとに政治的意見が変わりやすい層を特定して、その層の心に響く情報を真偽問わず流しまくっていたのです。
引用元:The Great Hack | Official Trailer | Netflix
もちろん当時から、フェイスブックはビジネス目的のマーケティングツール(ピンポイントでの広告表示、趣味趣向の把握など)として使われていました。しかし、「一国の大統領選挙にまで影響を及ぼす可能性がある」という事実は世界に衝撃を与えました。
このとき、数千万人もの個人情報が流出していたこともあり、マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック社のCEO)は米議会の証言台で謝罪しております。
ちなみに、フェイスブック社がどこまで個人情報の不正取得を把握していたかは不明です。
内部文書の公開&フェイスブックが終わった時代(2021年)
個人情報の流出やプロパガンダ目的での利用が問題視され始めたフェイスブックですが、今年公開された内部資料によって、いよいよ息の根を止められたように見えます。
以下が内部資料の内容です。
・Instagram(インスタグラム)はティーン層の少年少女のメンタルヘルスに悪影響を及ぼしている。
・民族間の暴力を助長する情報が投稿されまくっているが、取り締まりが不十分である。
・偽情報を拡散してしまう可能性が高いアルゴリズムが採用されている。
・若年層はあまりフェイスブックを使っていない。
・フェイスブック社員は、フェイスブックが社会に与えるネガティヴな影響を問題視している。
どうでしょうか? 若者のメンタル・民族や人種間の憎悪・嘘情報(フェイクニュース)の拡散等、社会的にかなり問題視されている分野ばかりではないでしょうか。
内部資料を公開した元社員は、 Frances Haugen(フランシス・ホーゲン)という方です。会社在籍時、「フェイスブック社は自身が与える社会的な影響を把握しながらも、利益を優先している」と感じていたようです。彼女は退職前に、以下コメントを社内掲示板に投稿しておりました。
「私はフェイスブックが嫌いなのではない。フェイスブックを愛している。救いたいのだ」
引用元:フェイスブック内部告発者、その動機と目的は?
フェイスブック社のビジネスモデル
内部文書の公開により、「社会的な影響力には目を瞑り、自社の利益を優先している企業」というイメージを確立してしまったフェイスブック社ですが、今の状況をすぐに変えるのは非常に難しいのではないかと思います。
なぜかと言うと、「人々がフェイスブックで過ごす時間に比例して、フェイスブック社の利益が上がる」からです。
フェイスブック社の利益は、広告主から受け取る広告料です。人々が広告を見ることを期待して、広告主はフェイスブック社にお金を払っています。そのため、「人々がフェイスブックで過ごす時間を増やせば増やすほど、フェイスブックは魅力的な広告の掲載先となり広告料が上がる」のです。
必然的に、フェイスブック社の最優先事項は「ユーザーがアプリ内で過ごす時間(エンゲージメントとも言います)を伸ばすこと」になります。
「エンゲージメントを増やして利益を出す」ビジネスモデルは、多数のプラットフォーマーと呼ばれるIT企業が使っている仕組みです。このビジネスモデルでやりとりされている商品は、人々の「興味・関心」です。プラットフォーム企業が「興味・関心」を集め、それを広告主に売ります。そして、プラットフォーム企業達は人々の関心を奪い合う熾烈な競争を繰り広げています。
どのようなコンテンツが人々に見られやすいか。「論争を引き起こしやすいコンテンツほど人々のエンゲージメントメントが高くなりやすい」ということが近年分かってきました。例えば、政治スキャンダルや人種差別的発言、陰謀論といった類のコンテンツです。現に2016年の米国大統領選挙時は、真偽が定かではない過激なニュースがFB上に溢れかえっていたそうです。
そして、このような有害なコンテンツに対する反応が増えれば増えるほど、フェイスブック社の利益が増大します。
尚、近年はAIツールを用いることで、文章コンテンツを手軽に、大量に作成できるようになってきました。詳しくは、最強の文章作成AI?GPTー3を5分で解説!にてご紹介しておりますので、ぜひ読んでみてください。
もちろん、フェイスブック社も問題のある情報や偽情報が出回ることを防ごうとはしているはずです。ですが、フェイスブックの規模が大きすぎることに加え、利益も追求しないといけないことを踏まえると、なかなか抜本的な改善策を打ち出せていないのが現状です。
世界的に不信感が高まっているフェイスブック社ですが、ついに先日、社名を「Meta」(メタ)に変更しました。メタバース事業に注力していくという決意を込めて社名を変更したようですが、悪すぎる会社イメージの刷新、そして責任追求を逃れることが目的ではないかと考えている人が多いです。
引用元:Facebook changes its name to Meta in major rebrand
メタバースの担い手として、メタは信用できるの?
メタ(旧フェイスブック社)が中心となって作り上げるメタバースは、果たして安心して利用できるのでしょうか。
(メタバースについて知りたい方は5分で分かる! 知っておきたいメタバースの5つのポイントをぜひお読みください!)
この疑問に関しては、懐疑的な声が数多くあります。メタバースにアクセスする際に用いるAR・VR機器を通してこれまで以上に個人情報が取得され、企業利益のために利用される可能性があるからです。個人情報の取得方法やプライバシー保護の観点から、フェイスブック社が作り上げるメタバースを信用するのが難しいと感じている人が多いようです。
この件に関してメタは、「人々の自由や人権や重視してプラットフォームの開発を進める」と発言しております。
とは言え、これまでの経緯やビジネスモデルを踏まえると、素直にメタの言葉を受け入れるのは難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。
本日は、フェイスブック社の企業イメージの変化を、3つのフェーズに分けてご紹介しました。
ここ10年くらいの間に起きたことをざっくりとまとめておりますが、良かったら記事内で紹介したドキュメンタリーも見てみてください。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。